夕方セレクションに行く段になった時、ムスコは泣き出しました。 行かないといっておいおい号泣。
熱が収まり２日経ったのでセレクション当日は学校へ行ったものの、 体調は今ひとつで万全ではなく、その不安と苛立ちで、 逃げ出したくなったのでしょう。
なかなか泣き止まないので このまま行かなかったら後悔するぞ というとやっと立ち上がりました。 そして車の中でお父さんも今になってわかるけど、 やっときゃよかったと後悔することが沢山あると・・・。 妻は薬局で子供用のスタミナドリンクを買ってきて飲ませ、でもひとしきり泣いたせいか、 会場に着く頃は落着きを取戻していました。
セレクションが始まりました。
アップを兼ねた練習ではまぁまぁいい動きでした。 ミニゲームが始まってムスコはサイドバック。 そういえばセレクションで自分の本来のポジションであるセンターバックは一度もしていません。 よく言えば繊細で控えめ、悪く言えば気が弱いという性格の現れでしょう。
さてムスコの動きは・・・まぁまぁです。というより３回の中では一番良くない。 ポジショニングやボールへのアクセスはいいのですが、やや消極的というより ボールを取った後の展開が上手くいかない。 簡単に奪われてしまう場面もあった。 それでもサイドバックとしての勤めは果たしていたと思う。 でも他の皆はやはり攻撃的で派手。悪く言えば目立ちたくてガンガン行くだけ。 ムスコはボールを持っている味方選手に敵が突っ込んでくるのを体でデフェンスしたり、 そういう地味なプレーをディフェンダーとしてのプレーを確実に淡々とこなす。 でもそういうところ見てくれてるだろうかと不安がよぎる。
チャンスボールがムスコの前に転がってきた。 得意の無回転ロングシュートを打ったが 空振りしてしまった。
そして終わった。 なんとなく駄目かナァという雰囲気。 それでも褒めてやった。 逃げずに頑張ったなと。よかったよと。
翌朝会社に行く前にムスコに、
結果が楽しみだなと言った。
行ってよかったなと言った。
落ちても足のせいやインフルエンザの所為にするなと言った。
もし落ちたなら実力がないからと考えろって言った。
ムスコは黙って聞いていた。
しかし金曜日に合格の通知が来た。 忘年会の最中、妻から電話がなっていた。ロングコールだったが出なかった。メールがきた。 トイレの時に見ようと思った。そして直にまた電話がなった。 またロングコール。もしかしたらと思い電話に出ると受かったと。
嬉しかったなぁー。早くうちに帰りたかった。 雪降って地面が凍っていたから、転んで死なないように注意して歩いた。 暴漢に襲われて死なないように後ろを振り返りながら注意して歩いた。 バカバカしいかもしれないが吉報を聞いてから死ぬのはヤダと思ったのだ。 ドラマでそういう演出あるしな。
よかったよかった。無事家に着いたよ。