★愛を読む人
去年自分の中では大問題になってしまった映画「愛を読む人」。
おっぱい的には過剰にすら思える程で、 エロ魂まんまんのワタクシが過剰というのだからある意味またまた大問題である。 勿論おっぱいは多いにこしたことはない。 何個以内なんて制限もありゃしない。

元々「愛を読む人」は見るつもりはなくて、 ある雑誌のコメントで「映画前半はセックスオンパレードなのに 後半はそんなことなかったかのように感動的な・・・」と書いてあったのがキッカケである。 正にエロ魂に忠実な動機。(不誠実な動機ともいえるが)

普段は「愛と感動の・・・」という謳い文句の映画の優先順位は低くなってしまう傾向にある。 結果的に愛と感動なら問題ないが、宣伝で「愛と感動の・・・」といわれると少し引いてしまう。 何故かというと性格が少し捻くれているからかもしれないが 「愛と感動の物語にはおっぱいが出難い」という方程式があるからだ。
もしワタクシに見て欲しいなら「愛と感動の」といわないほうがいいかもしれない。 (何故か上から目線の発言。でも冷静に考えればR指定である程度判断できるんだけどね) ついでにもう1つ優先順位が低くなるというか殆ど見ないのがホラー映画。 理由は単純で恐いから。 見ている時はまだいいのだが夜中に突然思い出しトイレに行くのも恐くなってしまうことがある。 こう見えてケッコウ臆病なのである。エクソシストも見ていない。

実際今まで見たホラーという括りの映画はフランク・ヘネンロッター監督の 16年ぶりの新作といわれている「バッドバイオロジー」だけである。 一応分類はホラー映画だけど全然怖くないしエロ魂むきだしだったから 大満足でエンドロールを向かえた。ラスメイヤー監督のヴィクセンと同じ匂いのするいい映画でした。 いやいや本当にありがとうごさいました。

「愛を読む人」は青春ありセックスあり歴史的背景ありで扱いが難しそうな映画である。

大学で法律を学んでいるマイケルは15歳の頃に通学途中具合が悪くなったところをハンナ(36歳) に助けられる。3ヶ月後に体が治ってお礼にいったところ偶然ハンナの着替えを見てしまい 動揺しそのままその場を立ち去る。しかし再び訪れた時にはハンナに導かれセックスをする。 そして恋に落ちる。二人の付合いが始まり楽しい日々が続く。
非識字者であるハンナに本を読んで聞かせるのが日課になる。同時にセックスも。 ある日突然ハンナはマイケルの前から姿を消すが、 大学の授業の一環で見学した裁判で被告人としてのハンナに再開する。 ハンナが過去にナチスドイツのユダヤ人強制収容所の看守として働いていたことの裁判だった。
非識字者であることを隠したいがために罪を否定せず無期懲役になってしまう。 ハンナが非識字者であることを証言すればハンナは有罪になることはなかったが、 マイケルが証言台に立つことはなかった。理由は「ハンナが恥ずかしがるから」だった。

その後マイケルは結婚するも心を開けない結婚生活となり離婚。 ハンナには本を朗読し録音したテープを送り続けた。 ハンナは手紙を書きたい一心で朗読された本を借り文字を覚え、 マイケルに手紙を出すが返事はなく、ただテープが送られてくるだけだった。 そして20年後、出所することになったハンナの身元引受人になるためハンナに会う。 ハンナと直接会話をするのは15歳の頃以来。そして出所当日マイケルが訪れると ハンナは自殺していた。

36歳の美人のオバサンに脱がれたら、 15歳の少年は勃起はとまらないし恋はしちゃうし夢中になっちゃうよなぁ(羨ましいなぁ)。 この映画がこんなにも感動的なのはストーリーそのものによるところと、 15歳の頃のセックスシーンを真面目に撮ったからだと思う。 アイドルを起用した日本映画にありがちな「後はご想像にお任せします」的な手法を使わず 何度も何度もセックスを描いたからだ。 ポルノ映画でもないのにセックスにかなりの時間を割いているのである。

15歳の少年にとっては恋も愛もセックスもごちゃ混ぜの性欲だったと思う。 そのセックスが作品全体に現実的な印象を与えていると思う。
マイケルがハンナのことを引き摺るようになったのは法定での出会いがあったからだ。 もしそのままハンナと会うことがなかったとしたらある意味マイケルは幸せだったのかもしれない。 青春の綺麗な思い出になっただろうから。 法定でハンナと再会するものの助けることが可能だったのにそれをしなかっために、 この映画はプラトニックに昇華していく。

この映画がすごいのはプラトニック的な葛藤だけではなく、 ハンナとのセックスをも引き摺るところにある。原作を読んでいないからわからないが、 愛と感動だけではなくセックスに重きを置いているのは監督のイメージによるものなのだろうか。

マイケルが大学で同じゼミの女子とセックスをするシーンがある。 ハンナが挿入したままの状態で「ちょっとここで止めて」といっていたのを思い出し、 同じように止めるのである。勿論その相手の女の子は「なんで止まるの?」という顔をする。 セックスの中にハンナとの思い出を表現するのである。 逆にハンナは15歳の少年とのセックスをどう感じていたのだろうか。 最初は未熟でもだんだんと満足できるぐらいに成長していったと思う。

セックスだけになるのが嫌だったと思うシーンもある。 ハンナが「今日から朗読を先にして」といった場面。 多分あってすぐセックスではあまりにも露骨な性欲だけみたいで悲しいと考えたのだと思う。 そういう細かい演出するところも憎い。 そして愛し合うだけではなく2人の気持ちが通じ合わないためにケンカする場面もあった。
ハンナはこの関係が永遠に続くとは思っていなかっただろう。 永遠というよりも長くは続かないということが分かっていたと思う。 どんな終わり方までは想像つかなかったとは思うが。

マイケルがハンナとのセックスを引き摺っているのを決定づけるのがファーストシーン。
しかしこのシーンの本当の意味がわかるまでかなり時間がかかった。 ファーストシーンでいきなり全裸の女性がベットルームから歩いてくる。 本当に最初の1秒ぐらいで出てくるので、不覚にも油断していてはっきり見られなかった。 悔しい。その女性がこの映画でどこかで関わりが出てくると思い注意していたのだが、 結局最後まで現れることはなかった。

ファーストシーンの全裸の女性は誰なのか。 全裸でベッドルームから歩いてきてマイケルに話しかける。 既に着替えているマイケルはキッチンにいる。会話の中で「今日は娘と会う」とマイケルはいう。 彼女は着替えながら「娘がいるなんて聞いてない」という。 つまりその女性は離婚した妻ではないのは明らか。 新しい恋人か娼婦か・・・そこまでは分からないが、 何れにしても一夜をともにした事は間違いないと思う。 彼女が出かけてしまうとマイケルは窓から外を見て路面電車に目を留める。 そして路面電車に乗っている15歳の頃の自分をイメージする ・・・こんな風に物語が始まっていくのである。

この全裸の女性こそがマイケルのハンナへの愛とセックスのトラウマを物語っていると思う。 普通に考えれば離婚しているのだから「マイケルは1人で朝食をとり、 何気なく窓の外をみるとる路面電車に目が留まる。 そしてあの頃の事を思い出す」だけでいい筈である。 別に全裸の女性はいなくていいと思う。

ラストシーンでマイケルは娘とハンナのお墓に行く。 (今まで娘は父親がどこか冷たいと感じてたようだった) 娘に全てを話すために。マイケルが全裸の女性にいった 「今日は娘と会う」というのはラストシーンに繋がっていたのである。 娘と会う前日にもマイケルは女性と一夜をともにしハンナとのセックスを追いかけていたのである。 マイケルにとってハンナとのセックスは時間が経てば経つほど、 あの頃愛と考えていた感情が単なる性欲に思えてならなかっただろう。 それはマイケルを苦しめる要因の1つになるが、 時間が経つにつれそのことを否定も肯定出来なくなっていったと思う。 あの頃のマイケルにとって愛でもあり性欲でもあったのだ。

いやマイケルだけじゃないだろう。15歳の頃の性欲をそんな風に後から感じるのは。 きっとマイケルはあの時のセックスを求めて、誰かとセックスする度にハンナを思い出し、 思い出すために誰かとセックスし、はてると無常観におそわれるという 満たされないセックスをし続けていたのだろう。離婚した妻に対しても。 映画の中では4人の女性・・・ハンナ、大学の同僚、妻、ファーストシーンの全裸の女性 ・・・とセックスしていることになるが、 実際にはもっと多くの女性とセックスをし「ここで止めて」を再現しハンナを求めていたと思う。 それでもマイケルのハンナに対する想いは精神的な愛の表現が損なわれる事がなく、 逆にあの15歳の頃のセックス描写が神聖化されたものになっていく。

そんな細かい事気にせず素直に感動したほうがいいのかもしれない。 「枝葉のこと四の五のいうんじゃねぇー」って各方面から言われるかもしれない。 しかし全てはあのファーストシーンの女性のせいである。

映画館は女性が多かった。
それから若いカップル。全部で15組ぐらいかな。 年齢層は意外に高かった。 前半セックスシーンが多かったからカップルのことが少し心配になった。 既に肉体関係にあるなら問題ないが、付合い始めだったら観賞後にやばい雰囲気になるかもしれない。 でも大丈夫。彼は前半のセックスシーンの多さで 下心を見透かされたような気持ちになるかもしれないけれど、 最終的には爽やかな愛と感動に包まれて映画館を出られるだろう。 彼女も彼によりぴったり寄り添うことだろう。

とにかく沢山の要素が詰まっているこの映画をみんな見たほうがいいと思う。
アシカラズ


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