// 観覧車に乗って //

理解があるような振をしながら
臆病な長い時間を歩いていた
いつからかそんな風になっていた

二人は何処にも届かないし
辿り着けないから
無理に綺麗そうな何かを装っていたんだ

愛が必要なんだと僕は言った
それには愛も必要だけど
愛にはセックスも必要だから
そんな風な理屈で君を抱いた

君はうんざりしていたのかもしれない
単位の小さい時間を気にして
イライラしている僕に

ある日
君に誘われ観覧車に乗った
二人だけの箱がゆっくりと上昇する
箱は軋み微少に揺れながら二人を運ぶ
観覧車の柱越しに見える海
でも僕は柱が気になる
柱は剥き出しの恐竜の骨みたいだった
上がるに連れて
僕は心臓をドキドキさせている

観覧車の天辺で
僕は裸になっていた
今迄の約束は
全部嘘の塊になって
落ちていった
・・・落し物のように

その時君は
お腹に赤ちゃんがいる見たいに
優しく微笑んでいた


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