--- 夏祭り ---
彼女がツマミを切るあいだ
僕はビアホールのビアマスタ気分
泡立て鎮めながら
冷えた缶ビールを冷えたグラスに注ぐ
彼女はウェイトレスみたいに
ウキウキ食べ物を運んでくる
スライスしたチーズとサラミとタバスコだけ
照れくさそうに
珈琲も入れてるから
花火の音がしているのも気づかずに
ビールを飲む
チーズにタバスコを少し落として食べる
花火の音が途絶えた事にも気づかずに
ワインもあるわよ
僕は不精して座ったまま
隣の彼女の前に身をのばして
戸棚のワイングラスを出す
態とだ
少し汗臭い
彼女は呟く
人熱れ歩いたからね
ボコボコとコーヒーメーカーが音を立てはじめる
何気なく大きく息を吸い込む
花火始まったみたい
僕は呟く
もうさっきからよ
彼女はあきれ顔で
微笑む